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なぜ、写経?

「写経」と聞いて、まず何を思い浮かべるでしょうか?

文字どおり、お経を書き写す。
文字がぎっしりと書かれて、難しいイメージをお持ちかもしれません。

それに何故、一文字ずつ書き写すという、気の遠くなることをするのか?
と、現代人の感覚では思いがちでしょう。

そこで、写経について少し考えることとしましょう。

写経の歴史

まず、「写経」の歴史からおさらいしてみましょう。
キーワードは、『写経と日の出ずる処の天子』、時代は約1400年前にさかのぼります。

飛鳥時代は、建国以来、八百万の神々を信仰してきた日本に仏教が伝来した時代で、非常に仏教色が強いのが特徴です。

なかでも聖徳太子は、仏教の教えに基づいて十七条憲法を制定し、若い人材が仏教を学ぶ学問所をつくり、仏教の普及につとめましたが、志半ばで命を落としてしまいます。聖徳太子の遺志を継いだ遣随使たちの努力により、仏教は更に広く普及しました。607年には、小野妹子が遣隋使として我が国としては初めて国書を隋に送ったと言われています。

この時代の人々は、相互の国を行き来しつつ持ち帰った仏教の経典を大事に扱い、それを基に自身の教養を深めていました。

『「経」を「写」す』という行為は、印刷技術が乏しいこの時代において非常に重要な作業でした。
貴重な経典を複製するためには、確実に書き写して行く必要があり、現在の印刷会社のような機関も数多くの人達の働き口として官立で設けられました。

ここで興味深いのは給与が出来高制であったということで、多く書き上げたら増額、誤字脱字で減額といった、近年非常に多く耳にするようになった『能力主義』そのものを、国が採用していたということです。

「写経」をすることが功徳になると言い、日々鍛錬する行為が広く行なわれたのは、仏教的信仰理由と書写能力向上による経済的優位性の向上により「理」と「利」が合致していたことが大きな要因のひとつと言えるでしょう。

写経の効用

現在では印刷技術の発達により、「写経」は仏教的な意味合いが強く感じられますが、実は秘められた数々の効用があることが分かってきました。
ここでのキーワードは、『写経と脳トレ』です。

少しくだけた感じもありますが、最近は様々な世代で「脳のトレーニング」という言葉に興味を持つ人が増加しました。脳の活動は、指先を使うと活発になると言われます。

「写経」は、集中力を高め、正しい姿勢になるため自然と心も落ち着いてきます。平常心を保ち、頭が冴えることによって、学業にも専念でき、仕事にもいつも以上の力を発揮できるのではないでしょうか。また、認知症の予防には、「写経」が最も効果があるとの研究もあるそうです。

その研究とは、百人一首やオセロ、あやとりなど脳を特に使いそうな様々な行動を行った時に、大脳の血液量の変化を調べるものであり、その結果「写経」がすべての数値において、他では出せない最高値を出すという目を見張るべき効果が確認されたそうです。

現代は、医療技術の発達により長寿で健康な世の中になりましたが、心も体も、いつまでも元気でありたいと願うことは、人間の自然の感情です。

写経を体験

飛鳥時代から現代に至るまで、その時代により信仰や経済、教育や健康など様々な人々の願望や感情に応えてきた「写経」。

今も昔も、信心深い日本人は一筆ずつ気持ちを込めて経文をしたためることにより、神仏を身近に感じ心の拠り所としてきました。

また、お経をじっくりと書き写すあいだ、墨のかおり、筆の感触といった「書の文化」に五感で触れることによって、私達が忘れかけていた日本文化の良さが思い起させてくれるのです。実際に、最近では特に若い世代に写経への支持層が増えると言われています。ここ成田山でも、若い人達が写経を体験する様子が多く見受けられるようになっています。

時代背景や世情は変わっても、日本人に息づく感情や文化がある限り、写経の魅力は変わることなく着実に、未来に受け継がれていくと言えるでしょう。

成田山新勝寺では、写経道場での受付を年中無休で行っており、「写経」のための必要用具も完備されています。
皆様も、是非この素晴らしい体験をなさってはいかがでしょうか。

詳しくは、こちらをご覧下さい。

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