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成田山と團十郎

成田山と市川家との繋がり

歌舞伎の市川宗家と成田山は、江戸元禄以来、成田山不動尊信仰の絆で結ばれており、市川宗家一門は節目ごとに成田山に参詣なさっています。
ここでは、歌舞伎の「成田屋」こと、市川宗家と成田山との縁の深さをご紹介します。

 

團十郎と成田屋

初代 市川團十郎
(成田山霊光館蔵)

江戸歌舞伎の名門、市川家と成田は、初代團十郎の父親が現在の成田市幡谷出身であることも関わり、深い間柄となっています。

初代團十郎は14歳で初舞台を踏み、坂田公時に扮し、紅と墨とで顔を隈取り、市川家のお家芸である荒事(あらごと)を創演し、大変な人気を得ました。しかしながら、初代團十郎は子宝に恵まれず、父祖以来信仰している成田山に祈願したところ、その願いが叶って元禄元年(1688年)に男子(二代目團十郎)を授かりました。

初代團十郎はこの霊験を大変喜び、元禄8年(1695年)に成田山不動明王を初演し、度々不動明王を演じました。

こうして不動の役は市川家の十八番となり、「成田屋」の屋号もこの頃から始まったものとされています。
「十八番」と書いて「おはこ」と読むのは、このレパートリーを「お箱」に入れて大事に團十郎一家が受け継いでいくからと言われます。

初代團十郎が創始した荒事は、見る人に今までの舞台になかった喜びと勇気を与えたと言われます。
また、荒事の特徴ともいえる独特な隈取り(くまどり)や、役者の演技がピークに達したところで、一時その動きを止めて睨むようにきめる見得(みえ)も、不動明王の姿と見てとることができます。

初代團十郎と10歳で初舞台を踏んだ九蔵(のちの2代目團十郎)親子は、子宝に恵まれたことや歌舞伎「兵根元曽我(つわもの こんげんそが)が大当たりしたことに感謝し、成田山に大神鏡を奉納しました。また、舞台衣装には成田山の寺紋である葉牡丹をあしらい、その信仰の深さを物語っています。

7代目市川團十郎 暫(しばらく)

自作の歌舞伎「不動」の中で演じた「不動の見得」は、まさに見得の中の見得と言われました。「不動の見得」が色々な人達の病を治したという言い伝えは、まさにお不動様のお慈悲のあらわれであったと言えるかも知れません。

5代目は、お家芸の歌舞伎「暫(しばらく)」に「中央大日大聖不動、成田は先祖の産神にて・・・」といった台詞を口上に取り入れたと言われます。
このことから分かるように、成田山のお不動様は市川宗家のルーツであり、その信心あってこそ團十郎の芸は不動のものとなったといえるでしょう。

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團十郎と成田詣

江戸で團十郎が成田山のお不動様にちなんだ歌舞伎を演じることにより、江戸の人達は大勢成田を訪れるようになりました。江戸から2泊3日。往路船橋で1泊し、2日目に成田山を参詣。復路も船橋で宿をとる。江戸っ子達にとっては、ちょっとしたレジャーだったのでしょう。
泰平の江戸時代、庶民の暮らしにゆとりが出てきたのと相まって、成田詣は大変もてはやされました。
成田山周辺には、旅籠や参詣客をもてなす食事処が立ち並び、門前町が形成されました。これが、現在の成田山表参道の原型となるのです。

「取持ち(とりもち)」という言葉があります。世話をする、接待をするという意味ですが、成田山の古い厨子に「成田山開帳 取持 市川團十郎」と記されているといいます。歴代の團十郎は、成田山に参詣する時は勿論、ご本尊を江戸に迎える出開帳(でがいちょう)の時にも、必ず参詣に来る人達をもてなし、接待したのです。これは、「奉仕する」という意味があり、ご本尊様の行である奴僕の行を行うことになるのです。

7代目は、わずか10歳で團十郎を襲名しました。近代演技者の最高の名人とうたわれる7代目。歌舞伎十八番は、この7代目が定めたもので今でもしっかりと受け継がれているのです。成田山には境内に額堂を奉納しました。正面に「せったい所」という看板を自ら掲げ、参詣する人達に茶菓子を振舞って「取持ち」なさったのです。

成田山新勝寺 額堂

7代目 市川團十郎石像

7代目が奉納した額堂は、残念ながら消失してしまいました。ですが、大本堂の奥 光明堂の前にある現在の額堂には7代目の石造が奉安され、今でも私達を静かに見守りながら「取り持って」くださっています。

また、成田山表参道にある延命院をご存知でしょうか。天保13年(1842年)、老中水野忠邦による質素倹約をうたった天保の改革により、7代目は江戸十里四方追放の刑に処せられました。その際、成田屋七左衛門と改名し身を寄せたのが延命院です。これちなみ、延命院には成田屋の三舛の紋があしらわれています。時は流れて現在、成田山表参道仲之町の坂にはこのご縁にあやかり、三舛の紋があしらわれた街灯が設置され、成田の街並みをあたたかに照らしています。

表参道にある延命院旧跡

表参道仲之町の坂にある街灯

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市川團十郎ゆかりの地めぐり PDF

成田山新勝寺境内の市川團十郎ゆかりの場所を紹介したPDFです。

(PDF:1,129KB)

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